ベトナムで事業展開を行う日本企業にとって、SNSを中心としたデジタルマーケティングは、もはや必須の施策と言えます。2025年現在、ベトナムのインターネットユーザーのうちSNSを日常的に利用する割合は90%を超えており、スマートフォンからの情報接触が当たり前になっています。国民の平均年齢も約32歳と若く、コンテンツ消費スピードの速さや、新しいトレンドへの適応力の高さがこの国の特性です。
本記事では、主要SNSの最新動向を分析するとともに、実際の成功事例を用いて、日系企業がベトナム市場においてどのようにSNSを活用すべきかを解説します。

Contents
1. ベトナムにおける主要SNSの特徴と活用戦略
ベトナムで利用されているSNSは複数ありますが、それぞれの特性を理解したうえで、ターゲットに適した施策を展開することが求められます。
プラットフォーム | 月間ユーザー数(推定) | 主な特徴と活用ポイント |
---|---|---|
約7,620万人 | 圧倒的な普及率。特に30代以上の生活者層を中心に、商品理解・比較検討段階での活用に適する。ライブ配信やグループ機能も強力な武器となる。 | |
Zalo | 約7,760万人 | ベトナム発のメッセージングアプリ。銀行、官公庁、ECでも広く利用されており、公式アカウントやZaloショップを活用したCRM的運用が可能。 |
TikTok | 約4,090万人(18歳以上) | Z世代を中心に浸透。エンタメ性の高い動画コンテンツが購買行動に直結しやすく、ソーシャルコマースとの相性も良い。 |
約1,060万人 | 都市部・富裕層・ファッション感度の高い若者に強い。広告・ストーリーズでの世界観訴求が重要。 |
※出典:DataReportal 2024 Vietnam Report, TikTok Ads Manager 2025, We Are Social
2. 実際の成功事例から読み解く戦略設計のポイント
Garnier(仏L’Oréalグループ)

GarnierはTikTokで「#GiGiGiGiチャレンジ」というユーザー参加型キャンペーンを実施。ブランド独自の楽曲を用いたショート動画投稿を促進し、結果的に約2.8億回の視聴を獲得。Shopeeとの連携により、美容液カテゴリで30%の売上増を実現した。
ポイント: TikTok上での認知施策とEC導線を連携させた“Shoppertainment”型施策が功を奏した。
※出典:TikTok Business – Garnier Vietnam
Berocca(Bayer社・ビタミン飲料)

ゲーム要素を取り入れたBranded Effect(TikTokフィルター)を展開し、広告認知度を13.2%向上させた。動画の総再生回数は5,000万回を超え、若年層との接点形成に成功。
ポイント: 生活者にとって自然な形でブランド体験を組み込んだUX設計が成功の要因。
※出典:TikTok Business – Berocca Vietnam
3. ベトナム市場に適したSNS施策を実現するには
ベトナム市場で効果的なSNS施策を展開するには、単なるコンテンツ制作や広告配信だけでは不十分です。重要なのは、マーケットの「文脈」を正確に捉えた戦略設計と、現地の実態に根ざした判断力です。その中心にあるのが「ペルソナ設計」です。
ペルソナ設計は“机上”ではなく“現場”から生まれる
年齢、性別、所得、居住エリアといった基本的なデモグラフィック情報だけでなく、SNSの接触時間帯、好まれる表現スタイル、消費トレンドへの感度、宗教・文化的背景まで踏み込んだターゲット設計が不可欠です。
特にベトナムでは、同じ20代であっても、ハノイの国家志向型とホーチミンの西洋志向型、あるいは地方の伝統志向型とでは、SNSの接触方法も消費行動も大きく異なります。こうした「目に見えない分断」を前提にした設計ができなければ、SNS施策は表層的なコミュニケーションに終わってしまいます。
ベクトルベトナムでは、ローカルスタッフが“マーケターとしての目線”を常に持つよう教育・訓練を行っています。KPIドリブンな運用だけでなく、現地ユーザーの反応をリアルタイムで観察・分析し、文化的背景や価値観の変化を日々の仕事に反映させる体制を整えています。これにより、「現場でしか見えないリアルなインサイト」に基づいた、深度あるペルソナ設計が可能になります。
認知から購買、リピートまでの一連の導線をSNS内で完結させることがトレンド。

4.法改正もポイント
法規制への対応と現地事情への順応
ベトナムではSNS運用に対する規制が強化されており、投稿内容・本人確認・ライブ配信に関する法的な理解が不可欠。
2024年12月施行の「政令第147号(Decree 147)」により、SNS利用には以下の規制が導入されました。
- 投稿者の本人確認義務(電話番号・ID認証)
- コンテンツ削除義務(有害とされた場合、24時間以内に対応)
- ライブ配信には登録済みの法人アカウントと運営許可が必要
これらの制度変更により、企業のPR・マーケティング活動においては「適法な運用」と「ローカルベンダーとの連携」が今後さらに重要になります。
※出典:AP News, Vietnam Tightens Internet Regulations (2024)
ベクトルベトナムのご支援体制
ベクトルベトナムでは、日系企業のベトナム市場進出、PR活動をSNS及びデジタル領域から支援しています。
- 日本語での戦略立案・運用ディレクション
- Facebook・TikTok・Zaloを中心としたSNS運用/広告運用
- KOLキャスティングとコンテンツ設計
- Zalo公式アカウント立ち上げ支援
- SNS規制対応と法務サポートの協力体制
日本国内とベトナム現地の双方を理解した「実務レベルでの戦略実行」が私たちの強みです。
SNSマーケティングは「文化理解」と「スピード感」が鍵
2025年のベトナム市場において、SNSマーケティングで成果を上げるためには、「文化的背景への深い理解」と「変化への即応性」が極めて重要です。
ベトナムは、多様な世代・地域・価値観が混在するマーケットであり、同じ施策でも都市部と地方、Z世代と30代以上とでは反応が大きく異なります。昨今翻訳アプリやAIは非常に進化してきていますが、言葉として翻訳するだけでは意味はありません。日本と同じ感覚のままでは通用しないことを念頭に置いて進めながら、「ベトナム文化への翻訳」が不可欠です。
同時に、TikTokやFacebookをはじめとするプラットフォームのアルゴリズムやトレンドの変化は日々加速しており、数週間でユーザーの行動が大きく変わることも珍しくありません。常にデータを観察し、必要に応じてPDCAを短いスパンで回す“運用スピード”も、競争優位性を左右する要素となっています。
ベクトルベトナムでは、現地ユーザーの感性に即した戦略立案と、現場レベルでの柔軟な実行力を両立させた支援体制を整えています。
SNSは一過性のプロモーションツールではなく、“ブランドと生活者をつなぐ日常的な接点”であることを前提に、文化を理解し、スピード感を持って取り組むことが、ベトナム市場での成功を導く鍵となります。
ベトナムでのSNS施策をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
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