ベトナムは東南アジアの中でも特にSNSの普及率が高い国の一つであり、2024年時点での総人口約9,920万人に対して、インターネットユーザーは約7,270万人、SNSユーザーもほぼ同数とされています。本記事では、SNSプラットフォーム別の利用率、年齢別・都市別の利用傾向、そしてマーケティング施策への活用ポイントを紹介します。


SNSプラットフォーム別 利用状況(2024年時点)

プラットフォーム推定ユーザー数全人口比率インターネット利用者比率
Zalo約7,500万人75.6%103.2%(※重複利用含む)
TikTok(18歳以上)約6,772万人68.3%93.1%
Facebook約6,620万人66.7%91.0%
YouTube約6,300万人63.5%86.7%
Facebook Messenger約5,450万人54.9%74.9%
Instagram約1,090万人11.0%15.0%
LinkedIn約750万人7.6%10.3%
Twitter(X)約558万人5.6%7.7%

年齢別SNS利用傾向

ベトナムにおけるSNSの利用は、特に若年層を中心に高い水準を示しています。

  • 12〜13歳の82%、14〜15歳の93%が毎日SNSを利用(UNICEF調査)。
  • 大学生の85.1%が毎日SNSを利用し、その中での利用率はTikTok(85.6%)、Instagram(84.7%)、Facebook(79.6%)と続きます。
  • 若年層はショート動画プラットフォーム(TikTok、YouTube Shorts)への関心が非常に高く、エンタメ型コンテンツやインフルエンサーとの親和性も強い傾向があります。

都市別SNS利用傾向

  • ハノイ・ホーチミン市(都市部)では、InstagramやTikTokの利用率が特に高く、トレンド志向の若者による発信が活発。
  • 地方都市や農村部では、依然としてZaloやFacebookの利用が主流。これらは情報交換、ニュース取得、日常的なチャット手段として広く使われています。
  • Zaloは地方・中高年層での浸透度が高く、地域行政や教育機関との連携機能も備えているため、生活インフラに近い存在です。

マーケティング・PR活用のポイント

1. ターゲットに応じたプラットフォーム戦略

SNSの利用動向に基づき、ターゲット層別に主軸とすべきプラットフォームを明確化することが重要です。

  • 若年層・都市部(Z世代・ミレニアル世代):TikTok、Instagram、YouTubeはビジュアル重視かつ短尺・リアルタイム性の高いコンテンツとの相性がよく、ブランドの世界観を直感的に伝えるのに有効です。トレンド性とエンタメ性を意識したコンテンツ設計が鍵となります。
  • 中高年層・地方部:FacebookとZaloは引き続き日常的なコミュニケーションや情報収集のプラットフォームとして活用されており、信頼性・実用性を前面に出した訴求が効果的です。特にZaloはベトナムの行政・教育とも連携が深く、PR施策においても信頼性の高いメッセージ発信が可能です。

2. KOL/インフルエンサー施策の最適化

  • TikTokインフルエンサーの活用:視聴者にとって“広告っぽくない”親近感のあるコンテンツが支持されやすく、製品レビューや日常使いの紹介といった「ライフスタイルに溶け込んだ自然なPR」が反応を得やすい傾向があります。特に、ナノ・マイクロKOLとの連携は費用対効果の高い施策として注目されています。ベクトルではナノ・マイクロKOLに特に注力して展開しております。
  • Zaloにおけるインフルエンサー・CRM活用:Zaloでは大規模な広告出稿は限定的ですが、公式アカウントの運用を通じたOne-to-Oneコミュニケーションが可能で、キャンペーン参加者へのリマインドやクーポン配布などCRM的アプローチと連携させたPRが有効です。

3. コンテンツのローカライズと文化適応

ベトナム国内でも北部と南部では文化的背景や言語表現、価値観に差があるため、統一的なメッセージ発信ではなく、文脈に合わせたローカライズを展開していくことも重要となります。

  • 北部(例:ハノイ):伝統や家族、礼儀を重んじる文化が根強いため、教育的・健康志向など「慎重な選択」を促す表現が有効。
  • 南部(例:ホーチミン市):消費意欲が高く、エンタメ性やトレンドに敏感な層が多いため、カジュアルでポジティブなトーンのコンテンツが響きやすいです。

このように、単なる広告出稿ではなく、信頼・共感・双方向性を前提としたPR設計を行うことで、ベトナム市場におけるSNS施策の実効性を大きく高めることが可能になります。


まとめ

ベトナムでは、SNSが年齢・地域を問わず生活の一部として浸透しており、特にTikTokやZaloの存在感が年々増しています。現在でも日本ではFacebook一辺倒でベトナムのSNS事情が語られることが多いですが、現地でのマーケティング施策を成功させるには、ターゲット属性に合ったプラットフォーム選定と、自社コンテンツに即したコンテンツ設計が不可欠です。日本よりも圧倒的にトレンドの移り変わりの激しいベトナムでは、これらのデータを活用したリアルな運用が不可欠です。戦略においても、こうしたデータドリブンなSNS活用が重要になるでしょう。

出典:

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